沖縄 パート2
神聖なる神秘の舞台を巡る
伝説によるとはるか遠い海の彼方、異界の地から降り立った神アマミキヨによって創られたとされる琉球の島々。県内各所には神話に基づく信仰の聖地が随所に残り、訪れる人々を神秘の世界へと誘ってくれる。
沖縄本島最北端に位置する「大石林山(だいせきりんざん)」は、有史前、創世記アマミキヨが最初に降り立ったとされる場所。安須杜(あしむい)と呼ばれる四連の岩山にあり、そこは沖縄最初の聖地として琉球王国時代、歴代の王が王家の繁栄や五穀豊穣、航海の安全などの祈りを捧げたといいう。現在でも40を超える御願所(うがんじゅ/拝所)が残り、足元に刻まれた古の記憶をたどりながら伝説の舞台を歩きながら、神秘のロマンに浸るここだけの体験を味わいたい。
創世記アマミキヨをはじめとした琉球の神々は、御嶽と呼ばれる聖地に祀られている。御嶽は南西諸島に広く分布しており、中でも本島南部の南城市にある「斎場御嶽(せーふぁうたき)」は最も格が高い琉球王国最高の聖地とされる。厳かな雰囲気に包まれる御嶽内には6つのイビ(神域)があり、例えば三庫理(さんぐーい)と呼ばれるイビは、巨岩が作り出す三角形の空気の突き当りに広がり、光が差し込んだ時のその佇まいはいかにも厳か。目の前に立つだけで心が洗われるような気分になるのが不思議だ。また、琉球王国時代、国家的な催事を執り行う際に聖なる白砂を神の島と呼ばれる「久高島」から特別に運び入れ、御嶽に敷き詰めたという。久高島は斎場御嶽からも望むことができ、安座真港から高速船に乗って15分ほどでアクセスできるので斎場御嶽と共にぜひとも訪れたい場所だ。
神話の世界とは異なり、人類の歴史に触れることができるのが「ガンガラーの谷」。数十万年前の鍾乳洞が崩れてできた太古の谷には数万年前の人々の痕跡が残っている。今も発掘調査が行われており、「世界最古2万3000年前のつり針」などが発見されている。亜熱帯の森に突如現れる谷に踏み入れば、異様な地形に多様な樹木が根を張り枝葉を広げ、生命力に満ち溢れた太古の世界が広がる。しばしタイムスリップをして、古の記憶を今に伝える異世界の旅を満喫するのもいいだろう。
*このページはOne Harmony会員誌 和らぎ 第39号より引用しています。