富山
多彩な自然を体感できる、雲上の別天地 ~立山黒部アルペンルート~
富山と長野の両県にまたがる、北アルプスを貫く世界有数の山岳観光ルート、立山黒部アルペンルート。富山県の立山駅と長野県の扇沢駅をつなぐ総延長37.2km、最大高低差1,975mの道のりを、ケーブルカーやロープウェイ、トロリーバス、高原バスなどを乗り継いで巡っていく。除雪作業が進んだ4月中旬頃に全線が開通し、地上とは異なる景色を見せてくれる。
春の開通時の最大の見どころは、標高2,450mの最高地点、室堂に現れる「雪の大谷」だ。冬場は雪に閉ざされる立山黒部アルペンルートでは、春が近づくと約2カ月かけて除雪作業が行われ、巨大な雪の壁「雪の大谷」が完成。高さ20mにも迫る雪の壁の横を高原バスが走り、幻想的な車窓が楽しめる。また、毎年4月中旬から6月下旬に行われる「雪の大谷ウォーク」では、歩行者用通路を特別開放。歩いて眺める白い壁と青空のコントラストは感動必至だ。
季節が進むと、雪に覆われていた「みくりが池」が姿を現す。紺碧の水面に立山三山が映る様子は、まるで絵葉書のよう。初夏には新緑の季節を迎え、周辺は散策のベストシーズンに突入する。多彩な高原植物が育ち、運が良ければ国指定の特別天然記念物であり、絶滅危惧種のライチョウに出合えることも。季節に合わせた服装や持ち物の準備をどうぞお忘れなく。
郷愁を誘う里山を訪ねて ~五箇山~
富山から車で約1時間。富山県の南西端、庄川沿いの自然豊かな里山に40の集落が点在する五箇山。雪国で発展した貴重な合掌造り家屋が保存され、今も人々の暮らしが続いている。世界文化遺産に指定された中規模集落「相倉」には田畑や雪持林、石垣なども昔の形を留め、江戸時代の五箇山の生活や産業の様子を伝える「相倉民族館」や「相倉伝統産業館」、特産の和紙作りに挑戦できる「五箇山和紙漉き体験館」など見どころ満載だ。同じく世界文化遺産の集落「菅沼」には土蔵や板蔵が残り、里山の原風景が残っている。
周辺には重要文化財の家屋もあり、改修が少なく建築当初の姿を拝める「村上家」、5階建てで国内最大規模の「岩瀬家」、最も古い形式の「羽馬家」と、家風によって育まれた特色を見比べるのも面白い。また、「村上家」や「岩瀬家」は見学が可能で、日本最古の民謡「こきりこ節」をはじめ代々伝承される民謡も鑑賞できる。(要予約)五箇山の情景を歌詞や調べで感じられる貴重な体験になるだろう。
また、毎年4月19日から5月6日にかけて五穀豊穣を祈り開催される「五箇山春祭り」では、各集落に伝わる獅子舞が連日持ち回りで披露され、ひとときの賑わいを見せている。(※天候や、各集落の事情により、獅子舞は中止になる場合あり。)
*このページはOne Harmony会員誌 和らぎ 第41号より引用しています。