新潟 パート1
新潟の原風景を今に残す、自然の宝庫 ~水の公園・福島潟~
「21世紀に残したい日本の自然100選」「にいがた景勝百選」「遊歩百選」などに選ばれ、雄大な自然美が胸を打つ湖沼。国の天然記念物オオヒシクイの越冬地としては日本有数の野鳥の楽園だ。これまでに220種以上の野鳥と450種以上の植物が確認され、自然がもたらす力強さと安らぎが共存。原風景が広がる潟湖に野鳥と花が佇む情景は、多くの人の心を掴んで離さない。
4月上旬から下旬になると、約3haの花畑一面に黄色い菜の花が開花。ぽかぽか陽気に誘われて訪れる人たちが、盛んにシャッターを切る。夏には、全国で70カ所程度しか確認されない希少なオニバスが花を付け、8月がその見頃に。オニバスは日本の水生植物では最大の約2mの葉をもつ一年草で、花は約10㎝の紫色。早朝に咲いて午後には閉じてしまうので、訪問時間にはご注意を。
また、併設の水の駅「ビュー福島潟」に足を延ばせば、オニバスやオオヒシクイを中心とした潟の動植物の映像や展示を通じて、貴重な生態に触れることができる。全面ガラス張りになった建物の屋上にも足を運び、福島潟、田園原景、新潟東港、そして新潟市中心部までも見渡せるパノラマ展望を楽しみたい。
贅を尽くした歴史と美が宿る豪農の館 ~北方文化博物館~
新潟の華やかな歴史とロマンに彩られた、越後の大地主・伊藤家の旧大邸宅。竣工は1889年。阿賀野川のほとりの小さな集落にて農業で身を興し、江戸中期より代を重ねて越後随一の大地主になった伊藤家が、8年の歳月をかけて築いた豪壮なる館である。8,800坪の敷地には、主屋、大広間、茶室、蔵が建てられ、そのうち26棟が国の登録有形文化財だ。主屋2階の展示室や集古館には、歴代当主が集めた良寛の書や古美術などの美術品が展示され、ここもかしこも一級品で埋め尽くされている。
新潟の自然美と名庭師の仕事が織り成す絶景が楽しめるのが、池泉回遊式庭園。新潟出身で京都・銀閣寺の出入り庭師だった田中泰阿弥によるもので、大広間から望む四季折々の景観は圧巻。中庭には、幹まわり1m60㎝以上にもなる樹齢150年の大藤があり、4月下旬から5月上旬の開花期には甘い香りを放つ。夜には大藤棚がライトアップされ、ムード満点。四季の植栽は泰阿弥の傑作と呼ばれる美しさで、初春の桜や夏の蓮も見ものだ。
*このページはOne Harmony会員誌 和らぎ 第41号より引用しています。